長崎県警察本部サイバー犯罪対策室と佐世保警察署は、平成24年8月30日、ファイル共有ソフトを使い、ゲームなどを配信していた長崎県在住の会社役員A(男性・40歳)を、著作権法違反(公衆送信権の侵害)と、わいせつ電磁的記録媒体陳列の疑いで逮捕しました。
この会社役員Aは、自宅のパソコンからファイル共有ソフト「Share」を起動し、当機構加盟会社が著作権を有するゲームを、著作権者の許可を得ずに無断でアップロードし、不特定多数のインターネットの利用者に対して自動送信できるようにしていました。また、わいせつ画像などもアップロードしていたことから、わいせつ画像等の陳列の疑いもかけられています。
長崎県警による調べに対し、会社役員Aは「ネット上でダウンロードして入手した。」「閲覧したことはあるが公開したことはない。」と否認しています。佐世保警察署では、犯行動機やファイル共有ソフトの使用履歴など、詳しい取り調べが進められています。
長崎県警によるサイバーパトロールが実施された際に、「Share」を使った発信が確認されました。アップロードされていたファイルに関して、当機構へ照会の連絡があり、確認したところ、加盟会社のゲームのデータであることが判明しました。
当機構調査部では、長崎県警からの要請により、アップロードファイルについての真贋鑑定などを実施し、全面的な捜査協力を行っていました。
【調査部から】
ファイル共有ソフト上に公開されているファイルのほとんどが、著作権者の許可を得ずにアップロードされたものです。匿名性があるといわれていましたが、ファイル共有ソフトが起動しているパソコンの情報を検出する技術が開発されており、警察による犯罪捜査にも活用されています。
ファイル共有ソフトは仕組み上、アップロードをしなくても、起動しているだけでファイルの転送経路として使われることもあります。著作権侵害となるファイルのアップロードやダウンロードのために、ファイル共有ソフトの使用を続けることは、ゲームやアニメに限らず、全てのコンテンツ産業を揺るがすことにもなります。
■告訴会社 イーアンツ有限会社、他1社
■鑑定実施者 一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構 事務局調査部
(平成24年9月に略式罰金刑の処分が下されています。)